【モンテッソーリ流】幼児の「しかり方」決定版 – 怒鳴る前に知りたい、自主性を育む「3つのルール」と場面別対処法 –

知って得する子どもの話

「ダメって言ってるでしょ!」「どうしてそんなことするの!」

イヤイヤ期や自己主張が強くなる幼児期の子育てでは、つい感情的に声を荒らげてしまう瞬間がありますよね。そして叱った後、「あんなに強く言う必要なかったかも…」と自己嫌悪に陥ってしまう親御さんも少なくありません。

もし、あなたの「しかり方」が、お子さんの自主性や自己肯定感を育むチャンスになるとしたら、知りたくありませんか?

モンテッソーリ教育では、私たちが普段使う「叱る(Punish=罰する)」という考え方とは少し異なります。目指すのは、恐怖で子供をコントロールすることではなく、子供が自分で考えて行動できる**「自己規律」**を育むことです。

この記事では、モンテッソーリ教育の専門家の視点から、なぜ感情的に叱ってはいけないのか、そして「叱る」代わりに大人が取るべき「3つの黄金ルール」と、具体的な「場面別対処法」を徹底解説します。

【理解】そもそもモンテッソーリ教育に「しかり方」という概念はある?

「モンテッソーリ教育は、子供の自主性を重んじるから、一切叱らない育児法ですか?」

これは非常によくいただく質問です。まずは、モンテッソーリ教育における「しかり方」の根本的な考え方からご説明します。

結論:「罰(Punishment)」は与えず、「規律(Discipline)」を教える

モンテッソーリ教育では、子供に恐怖心を与えて行動を抑圧するような**「罰(Punishment)」は与えません**。

しかし、それは「何をしてもいい」という放任とは全く違います。私たちが目指すのは、子供が社会生活を営む上で必要なルールやマナーを理解し、自分自身を律する力、すなわち**「規律(Discipline)」**を身につける手助けをすることです。

大人の役割は、罰を与える「監視者」ではなく、正しい道へ「導くガイド」なのです。

幼児が「問題行動」を起こす本当の理由

幼児が大人を困らせる行動(いわゆる「問題行動」)を起こす時、そこには悪意があるわけではありません。その多くは、発達段階における自然なサインです。

  • 探求心: 「これを投げたらどうなる?」「これを押したらどうなる?」という世界への好奇心。
  • 自立心の芽生え: 「自分でやりたい!」という強い衝動。
  • SOSサイン: 「やり方がわからない」「どう伝えたらいいか分からない」という助けを求める声。

これらのサインを「悪いこと」として頭ごなしに叱ってしまうと、子供の健全な発達の芽を摘んでしまうことになりかねません。

なぜ感情的に叱ってはいけないのか? 幼児への悪影響

大人が感情的に怒鳴ったり、強い言葉で叱ったりすると、幼児の心には何が起こるでしょうか。

  1. 恐怖による萎縮: 子供は「なぜダメなのか」を理解するのではなく、「怒られたから(怖いから)やめる」だけになります。これでは自己規律は育ちません。
  2. 自己肯定感の低下: 「自分はダメな子だ」「どうせ怒られる」と感じ、挑戦する意欲や自信を失っていきます。
  3. 親の顔色をうかがう: 自分の気持ちよりも「親に怒られないか」を優先して行動するようになり、主体性が育ちにくくなります。

【納得】感情的にならない!モンテッソーリ流「3つの黄金ルール」

では、「叱る」代わりに、大人はどう振る舞えばよいのでしょうか。モンテッソーリ教育が大切にする、幼児に「導き」を与えるための3つの黄金ルールをご紹介します。

ルール1:子供の人格や感情は「否定しない」

最も重要なルールです。正すべきは「行動」であって、子供の「人格」や「感情」ではありません。

  • NG例: 「そんなことするなんて、悪い子ね!」「いつまでも泣かないの!」
  • OK例: 「(行動を指摘)お友達を叩くのは、いけないよ」「(感情を肯定)悔しかったんだね。悲しかったんだね」

行動は制限しても、その子の存在や「悲しい」「悔しい」といった感情は、まず丸ごと受け止めてあげてください。

ルール2:「行動の制限」は明確に、短く、冷静に伝える

モンテッソーリ教育は自由を尊重しますが、「何をしてもいい」わけではありません。**「他者(人)を傷つけない」「環境(モノ)を傷つけない」「(活動の)邪魔をしない」**という明確なルールがあります。

もし子供がこのルールを破ったら、大人は感情的にならず、**「冷静に、短く、明確に」**行動を制限します。

  • NG例: 「なんで叩くの!前も言ったでしょ!いい加減にしなさい!(長く感情的に話す)」
  • OK例: 「(低い声で、真剣に)いけません。叩きません」(目を見て、短く伝える)

なぜダメなのかを幼児に長々と説教しても理解できません。「ダメなものはダメ」という毅然とした態度を、冷静に示すことが重要です。

ルール3:問題の根本原因は「環境」にないか見直す

モンテッソーリ教育では、「子供が悪い」と考える前に、まず**「環境が子供に合っていないのではないか」**と疑います。これは大人の大切な役割です。

  • 触ってほしくない物を、子供の手の届く場所に置いていませんか?
  • 子供がエネルギーを持て余し、退屈していませんか?
  • 「自分でやりたい」のに、大人が先回りして手伝いすぎていませんか?

叱る回数が多いと感じたら、それはお子さんのせいではなく、大人が環境を見直すサインかもしれません。

【行動】幼児あるある!「5つの場面別」モンテッソーリ流・対処法

ここからは、親御さんが特に悩みがちな5つの場面について、具体的な対処法をご紹介します。

場面1:お友達のおもちゃを叩いて取ってしまった時

  • NG例: 「ダメでしょ!ごめんなさいは!」(一方的に叱り、謝罪を強要する)
  • OK例:
    1. (行動を止める)まず間に入り、叩いた手をそっと掴んで「叩きません」。
    2. (事実と気持ちを代弁)「あれが使いたかったんだね。でも、今〇〇ちゃんが使っていたからビックリしちゃったね」。
    3. (代替案を教える)「『貸して』って言ってみようか」「順番こしようか」。

場面2:ご飯(おやつ)をわざと床に落とす時

  • NG例: 「こら!食べ物で遊ばないの!」(感情的に反応する)
  • OK例:
    1. (冷静に事実を伝える)「食べ物は投げるものじゃないよ」。
    2. (意思を確認)「もうお腹いっぱいかな? ごちそうさまにしようか」。
    3. (結果を体験させる)「落ちたものは食べられないね。一緒にお掃除しよう」(叱るより、行動の結果を淡々と体験させます)。

場面3:お店で走り回ったり、大声を出したりする時

  • NG例: 「静かにしなさい!いい加減にして!」(遠くから大声で怒鳴る)
  • OK例:
    1. (そばに行き、目線を合わせる)「ここはみんなが静かにするところだよ。走ると危ないよ」。
    2. (選択肢を与える)「ママと手を繋いで歩けるかな? それともカートに乗る?」。
    3. (事前に約束する)可能であれば、入店前に「お店では走らないよ、お約束できるかな?」と伝えることも有効です。

場面4:「イヤ!」ばかりで着替えや歯磨きを拒否する時

  • NG例: 「早くしなさい!わがまま言わないの!」(親の都合で強制する)
  • OK例:
    1. (気持ちを受け止める)「イヤなんだね。着替えたくない気分なんだね」。
    2. (選択肢を与える)「(服を二つ見せて)青い服と赤い服、どっちがいい?」「歯磨き、ママが先にやる? 〇〇ちゃんが先にやる?」。
    • 幼児は「自分で選びたい」のです。小さなことでも選択させることで、驚くほどスムーズに動くことがあります。

場面5:かんしゃくを起こして泣き止まない時

  • NG例: 「うるさい!泣き止みなさい!」(感情を無理に抑え込ませる)
  • OK例:
    1. (安全を確保して見守る)まずは安全な場所で、気が済むまで感情を出させます(ただし、人や物を叩いたら止めます)。
    2. (静かに寄り添う)「悲しかったね」「悔しかったんだね」と、興奮が収まるまでそばにいます。
    3. (落ち着いたら話す)冷静になってから、「何がイヤだったのか」をゆっくり聞いてあげましょう。

まとめ:幼児の「しかり方」は「信頼関係を築くチャンス」

モンテッソーリ流の「しかり方(導き方)」は、単なるテクニックではありません。それは、子供を一人の人間として尊重し、深い信頼関係を築くためのプロセスです。

大人の役割は、子供を「罰する人」ではなく、子供が自分で気づき、成長していくのを「サポートする人(ガイド)」であること。

明日からすべてを完璧に実践する必要はありません。まずは、お子さんが「問題行動」を起こした時、「ダメ!」と怒鳴る前に一呼吸おいて、「今、この子は何を伝えたいんだろう?」と考えてみることから始めてみませんか。

その小さな意識の変化が、お子さんの自主性と自己肯定感を育む、大きな一歩となります。


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