モンテッソーリ教育では、子供の内面的な成長(自己肯定感や集中力)を促す独自のアプローチをとります。一般的なほめ方とは異なり、「結果」ではなく「プロセス」に注目するのです。
この記事では、モンテッソーリ教師も実践する「3歳児の才能を伸ばすほめ方の黄金ルール」から、つい使ってしまいがちな「NGほめ言葉」、そして明日からすぐに使える「5つの場面別・声かけ具体例」までを徹底解説します。
この記事を読めば、あなたの声かけ一つで、お子さんの反応が驚くほど変わり、自ら考えて行動する力が育まれていくことを実感できるでしょう。
【理解】なぜ3歳児にモンテッソーリ流の「ほめ方」が重要なの?
まずは、なぜ今、3歳のお子さんへの「ほめ方」を見直すことが重要なのか、その理由からご説明します。
3歳児は「自己肯定感」の土台を作る最も大切な時期
3歳は、「魔の3歳児」や「イヤイヤ期」と呼ばれるように、親御さんにとっては手がかかる時期かもしれません。しかし、これは「自分でやりたい!」という強い自立心が芽生えている証拠です。
この時期の子供は、大人の手を借りずに何かを成し遂げようと必死に挑戦しています。この挑戦を周囲の大人がどう受け止め、どんな声をかけるかによって、子供の「自分はできる」「自分は価値がある」という感覚、すなわち自己肯定感の土台が築かれます。
モンテッソーリ教育では、この時期を「自己を確立する敏感期」と捉え、子供の「やりたい」という衝動を最大限に尊重します。
モンテッソーリ教育が目指す「内発的動機づけ」とは
あなたは、お子さんに「ほめられるために行動する子」と「自分がやりたいから夢中になる子」のどちらに育ってほしいでしょうか?
モンテッソーリ教育が目指すのは、後者の「内発的動機づけ」です。これは、ご褒美や罰(外発的動機づけ)によって動かされるのではなく、自分の内側から湧き上がる好奇心や探究心、達成感のために行動する力です。
この「内発的動機づけ」こそが、将来にわたる学習意欲や集中力の源泉となります。そして、親の「ほめ方」は、この動機づけを育てることもあれば、逆に奪ってしまうこともあるのです。
「ほめる(Praise)」と「勇気づける(Encouragement)」の決定的な違い
モンテッソーリ教育では、一般的な「ほめる(Praise)」よりも、「勇気づける(Encouragement)」を重視します。
- ほめる(Praise):
- 「すごいね」「上手だね」など、親が子供を「評価(ジャッジ)」する行為です。
- ここには「親が上、子供が下」という上下関係が生まれやすく、子供は「親に評価されるため」に行動するようになりがちです。
- 勇気づける(Encouragement):
- 「最後まで頑張ったね」「嬉しいんだね」など、子供の「プロセス」や「感情」に寄り添い、承認する行為です。
- 親と子は対等なパートナーであり、子供の存在そのものを認めるメッセージとなります。
この「勇気づけ」こそが、子供の自己肯定感を育む鍵となります。
【納得】「すごい!」はNG? 3歳児の主体性を奪う「3つのNGほめ言葉」
「勇気づけ」が大切なのは分かったけれど、「すごい!」や「えらい!」がなぜダメなの? と疑問に思う方も多いでしょう。ここでは、私たちがつい使ってしまいがちな「NGほめ言葉」とその理由を解説します。
NG例1:結果だけを評価する言葉(例:「1番だね!」「上手だね!」)
- なぜNGか:
- これらの言葉は「結果」だけを評価しています。これを繰り返されると、子供は「結果を出さないと自分には価値がない」「失敗は悪いことだ」と学習してしまいます。
- 結果として、失敗を恐れて新しいことに挑戦しなくなったり、「上手だね」と言われることしかやらなくなったりする可能性があります。
NG例2:あいまいな人格評価(例:「いい子だね」「えらい!」)
- なぜNGか:
- 3歳児にとって、「いい子」や「えらい」は非常にあいまいです。子供は何をしたら「いい子」なのか分からず、常に親の顔色をうかがうようになってしまいます。
- 「いい子でいなければ愛されない」というプレッシャーが、子供のありのままの姿や主体性を奪ってしまうのです。
NG例3:他人と比較する言葉(例:「お友達より早いね」)
- なぜNGか:
- これは自己肯定感の軸を「他人」にしてしまう、最も避けたい声かけの一つです。
- 「勝っている時は優越感、負けている時は劣等感」という不安定な心の状態を生み出します。子供が自分自身の成長に目を向けるのではなく、常に他人との比較でしか自分を測れなくなってしまいます。
【行動①】3歳児の才能を伸ばす!モンテッソーリ流「5つのほめ方」実践ガイド
では、具体的にどのような声かけをすればよいのでしょうか? ここからは、モンテッソーリ流「勇気づけ」の5つの実践ガイドをご紹介します。
1. 結果より「プロセス」を具体的に描写する(黄金ルール)
これが最も重要な黄金ルールです。親は評価者(ジャッジ)ではなく、優れた観察者になりましょう。子供が「何をしたか」ではなく、「どのように取り組んでいたか」を見たまま具体的に言葉にします。
(例)お絵描きをしている時
- NG: 「わあ、上手に描けたね!」
- OK: 「赤いクレヨンで、力強いぐるぐるが描けたね!」「次は黄色を選んだんだね」
子供は「自分の行動や工夫をしっかり見てくれている」と感じ、さらに意欲が湧いてきます。
2. 子供自身の「感情」や「達成感」を代弁する
3歳児は、嬉しい、悔しい、誇らしいといった感情が豊かになりますが、まだそれをうまく言葉にできません。親がその気持ちを代弁してあげましょう。
(例)パズルが完成した時
- NG: 「すごーい!全部できたの?」
- OK: 「最後のピースが入って、スッキリした顔してるね!」「全部ひとりでできて、とっても嬉しそうだね!」
自分の感情を言葉で認識できると、子供の心は安定していきます。
3. 「I(アイ)メッセージ」で親の素直な気持ちを伝える
子供を主語にする「Youメッセージ(あなたは~だ)」は評価になりがちです。代わりに、親(私)を主語にする「I(アイ)メッセージ(私は~だ)」で、親自身の素直な気持ちを伝えましょう。
(例)お手伝いをしてくれた時
- NG: 「お手伝いできて、えらいね!」(Youメッセージ)
- OK: 「テーブルを拭いてくれて、ママ(パパ)とっても助かったよ。ありがとう!」(Iメッセージ)
これは評価ではなく「感謝」であり、子供は「自分は誰かの役に立てた」という自己有用感を育みます。
4. 失敗や挑戦そのものを「認める」
うまくいかない時こそ、声かけのチャンスです。結果がどうであれ、取り組んだ姿勢や勇気そのものを認めましょう。
(例)積み木が崩れてしまった時
- NG: 「あーあ、だから言ったのに」
- OK: 「あきらめないで、あんなに高く積もうと挑戦していたね!」
失敗を責められないと分かると、子供は安心して次の挑戦に向かうことができます。
5. 子供の「観察」と「集中」を見守る(声かけない勇気)
モンテッソーリ教育では、子供が何かに没頭している状態を「集中」と呼び、非常に大切にします。子供が何かに夢中になっている時、親は「ほめたい」という気持ちをぐっとこらえ、声をかけずに見守る勇気を持ちましょう。
その深い集中と、やり遂げた後の静かな満足感こそが、子供の「内発的動機づけ」を何よりも強く育てます。親の沈黙が、最高の「勇気づけ」になる瞬間です。
【行動②】【保存版】明日から使える!「5つの場面別」声かけ具体例
理論は分かっても、実際の場面では言葉に詰まってしまうものです。ここでは、日常生活でよくある5つの場面別の具体例をご紹介します。
場面1:お片付けができた時
- NG例: 「お片付けできて、えらいね!」
- モンテッソーリ流: 「おもちゃが全部お家に帰って、床がきれいになって気持ちいいね」「(プロセス描写)一つひとつ丁寧に箱に戻していたね」
場面2:作品を「見て!」と持ってきた時
- NG例: 「わあ、上手だね!天才!」
- モンテッソーリ流: 「(興味を持って質問)わあ、これは何を描いたの?」「この部分はどんな色を混ぜて作ったの?」
場面3:自分で服を着ようと頑張っている時
- NG例: 「早くしなさい!」「(手伝って)はい、できた!」
- モンテッソーリ流: 「(見守る)…ボタンを一つひとつ穴に通そうとしてるね。指先を上手に使ってるね」「(できた時)全部自分で着られたね!」
場面4:ご飯をこぼしてしまった時
- NG例: 「あーあ、何やってるの!またこぼして!」
- モンテッソーリ流: 「大丈夫。こぼれちゃったね。一緒にふきんを持ってこようか」(失敗を責めず、対処法を一緒に学ぶ)
場面5:お友達とトラブルになった時
- NG例: 「あなたが悪いでしょ!ごめんなさいは?」
- モンテッソーリ流: 「(まず感情を受け止める)悲しかったんだね。どうしたかったのか、教えてくれる?」
まとめ:子供の「ありのまま」を認める声かけが、明日からの未来を変える
モンテッソーリ流の3歳児へのほめ方、いかがでしたでしょうか。 重要なポイントは、親が「評価」するのをやめ、子供の「プロセス」や「ありのままの姿」に共感し、承認する(勇気づける)ことです。
ご紹介した5つの実践ガイドと場面別具体例は、決して難しいテクニックではありません。
もちろん、長年の癖で、つい「すごいね!」と言ってしまうこともあるでしょう。そんな時はご自分を責めないでください。大切なのは、完璧を目指すことではなく、「子供の内面を育てよう」と意識を向けることです。
まずは1日1回、お子さんの「頑張っている姿」を具体的に言葉にすることから始めてみてください。あなたの温かい「勇気づけ」の言葉が、お子さんの自己肯定感という生涯の財産を育んでいきます。


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